気がつくと、僕は親戚たちと一緒に建物の前に立っている。

僕が立っているところは歩道になっていて、歩道と隣接して大きな水路が流れている。 右の方には堤防が見える。ここは海辺なのだろう。 それにしても風が強い。

ふと堤防の方を見ると、とても大きな波が向かってきているのが見えた。

「ねえ、あの波って堤防超えてきてない?」

僕は堤防の方を指差す。

「本当だ」

祖母はそう答えるが、特に驚いている様子は無かった。(僕がよく見てなかっただけかも)

遠くにあった時はかなり大きく見えたが、目の前まで来た波はそこまで大きなものでは無かった。 そうはいっても、波は水路から溢れて僕達の立っているところに海水が流れ込んできた。

「いつもこんな感じなの?」

僕は祖母に尋ねる。

「いやぁ、こんなことは滅多に無いよ」

「今は満潮なのかな……」などと考えつつ再び海の方を見ると、それなりに大きな島が見えた。(堤防があるから本当は見えるはずないんだけど)

「ねえ!あそこに島が見える!」

僕はみんなに知らせようとしたが誰も反応してくれない。 そうこうしているうちに、さっきとは比べ物にならない大きさの波が来た。 その波は水路の縁で跳ね上がり、僕の身長の2倍以上はありそうな壁となって覆いかぶさってきた。

「うわ、やべ」

波に飲まれる直前にそんなことを口走ったような気もする。 大量の水で僕は建物脇の道路を15メートルくらい流されたが、不思議と怪我はしていなかった。(気付いていないだけかも)

従姉妹も僕と同じくらいのところまで流されていた。僕が立ち上がって祖母たちの居るところまで戻ろうとすると、従姉妹が足の裏を見ながら

「白い破片が刺さった!」

と言っている。 このとき、どうして僕が酷く冷静でいられたのかはよくわからない。「そんな大したことないでしょ」くらいに思っていたのかもしれない。我ながら薄情なやつになったもんだ。小・中学生の頃であればきっと「大丈夫!?ちょっと見せて!?」といった調子で焦りまくっていたに違いない。

波に流される前に立っていた場所まで戻ると、僕の母親が従姉妹の足の裏を見ていた。傷の状態を見ているのだろう。母親も対して焦っていなかったから、傷も大したことなかったんだと思う。

今日見た夢はここでおしまい。 (2018/8/20)